情報公開

中期運営方針(抜粋)

 

平成29年3月17日

Ⅰ.はじめに
 当法人は、平成21年7月に日本公認会計士協会(以下、JICPAという。)が中心となり、経済界、学界、関係各界の協力を得て設立され、7年が経過した。設立にあたっては、公認会計士、公認会計士試験合格者、会計実務に携わる者をはじめ、広く会計及び監査に関心を有する者の教育研修に関するニーズを的確に把握し、教材の開発及び教育研修の実施により、これらの者の会計及び監査に関する専門的知識、専門的技能並びに職業倫理の向上を実現し、もって会計及び監査の判断を的確に行える人材の育成に寄与することを目的とした。
 現在、当法人は、上記の設立目的に基づき、公認会計士制度に関わる事業として、公認会計士試験合格者に対する我が国唯一の実務補習機関として実務補習所の運営を行うとともに、公認会計士を対象とした継続的専門研修(以下、CPEという。)をJICPAと共同で開催している。また、独自の事業として会計実務に携わる者を対象とした会計実務家研修を行っている。今回は、上記の設立目的と最近の環境変化を踏まえ、安定的で効率的な業務運営に向けて、実務補習、CPE運営事業、会計実務家研修の3つの事業の各々の位置づけを明確にしたうえで、今後3年間の取組み方針を中期運営方針として定めることとした。
 今後とも、当法人は、JICPA、東京証券取引所をはじめとする各地の証券取引所、日本経済団体連合会、日本証券アナリスト協会、日本監査役協会、会計大学院協会等と連携を図り、会計教育財団として、我が国の会計人材の育成・会計リテラシーの向上に取り組む。

 

Ⅱ.今後3年間の重点課題 
 当法人では、計数管理の充実によるコスト意識の徹底を図り、業務運営の効率化に努めるとともに、実務補習、CPE運営事業、会計実務家研修の各事業における今後3年間の重点課題は以下のとおりである。

 

<実務補習>
・「実務補習在り方検討プロジェクトチーム」報告書を踏まえたアクション・プログラムの策定と実施による実務補習の充実

 

<CPE運営事業>
・今までのCPE運営業務のノウハウを生かして、CPE対象の運営業務の受託拡大

 

<会計実務家研修>
・市場関係者のニーズを踏まえた充実した教育・研修プログラムの提供
・会計実務家研修に関する上場会社等への認知度のアップ
・上場会社や公認会計士等の会員加入の促進

 

Ⅲ.事業別の主な取組み
1.公認会計士制度に関わる事業
(1)実務補習
①事業としての位置づけ等
 当法人は、平成21年11月にJICPAが行っていた実務補習の運営を引き継ぎ、金融庁から実務補習機関として認可を受け、日本で唯一の実務補習機関として実務補習所を運営している。
 現在、当法人は、東京実務補習所を直接運営するとともに、3実務補習所(東海、近畿、九州)と8支所(札幌、仙台、新潟、長野、金沢、静岡、広島、高松)は、JICPAと業務委託契約を締結し、各地域会の協力を得て運営している。また、実務補習所の業務運営は、実務補習協議会、4実務補習所運営委員長会議、8支所運営委員長連絡会議、各実務補習所及び支所の運営委員会、事務局調整会議などでの検討を踏まえて行っている。
 最近の主な取組みとしては、実務補習生の減少に伴う当法人の財政状態の大幅な悪化を契機に、平成27年4月に「実務補習在り方検討プロジェクトチーム」がJICPA内に設置され、実務補習のあるべき姿や今後の改革の方向性に関する検討結果と提言が報告書として取りまとめられたことがあげられる。当該報告書は、その後、平成28年3月に当法人の理事会で報告され、同年5月にはJICPAの理事会で了承された。
 また、当該報告書に盛り込まれた提言の実施による実務補習の充実を前提にして、15年間据え置かれていた実務補習料の引上げが、同年10月の当法人及びJICPAの理事会でそれぞれ承認され、同年11月入所の実務補習生から実務補習料は入所料込みで27万円(+87千円)となった。その結果、当事業の事業損益は、実務補習内容の充実化の施策との関係はあるが、改善していくものと考えられる。

 

②今後3年間の主な取組み
 当事業では、適切な資質・力量を備えた公認会計士を育成・確保する観点から、上記報告書の提言内容の具現化に向けてアクション・プログラムを策定して取り組む。これは、平成28年3月の金融庁の「会計監査の在り方に関する懇談会」の提言も踏まえたものとする ※1 。このアクション・プログラムの策定及び実行にあたっては、JICPAと連携して取り組むこととする。
 具体的なアクション・プログラムの策定にあたっては、上記報告書の提言内容が多岐にわたることから、優先順位をつけて取り組むこととしている。既に、考査を監査総合グループと税務グループに分けて、2017年に入所する実務補習生からそれぞれ6割以上の成績の獲得を修了要件に定めたことや、会計不正を見抜く力を養成するカリキュラムの実施などを行っており、それ以外で、(1)実務補習の在り方に関係して早急に検討・実施する必要があるもの、(2)実務補習所の効率的運営と実務補習生の利便性向上のために早急に対応を検討・実施すべきものを重点施策として掲げることとした(下記のa~e)。
 また、アクション・プログラム以外で、実務補習所の円滑な運営と機能向上のために取り組むべきものも重点施策として掲げることとした(下記のf~h)。
 具体的な今後3年間の重点施策としては、以下のとおりである。


 a. ディスカッションなど、アウトプット重視型カリキュラムの充実
 b. 税科目など、現在の公認会計士試験制度に合致したカリキュラムの充実
 c. 実務上のポイントの明確化など、実務補習教材の充実
 d. タブレット端末貸与などのテクノロジーの活用や講義でのインターネット活用
 e. 継続生対策
 f. 支所の効率的な運営
 g. 実務補習所間の交流
 h. 運用取扱いの透明性を図るための関係規程等での明文化


 そして、カリキュラムの充実及び実務補習教材の充実に合わせて、実務補習指導要領も見直していく。また、考査の修了要件を改めたことに伴うシステム対応を適時適切に実施していく。
 そのほか、当法人の業務運営の効率化の一環として、他の事業との連携を図る。例えば、CPEや会計実務家研修と当事業の基礎教育部分のコンテンツや講師の共有を図る。また、上記の施策の実施にあたり、事務局としてサポートできる人材の育成、体制整備を図る。

 

(2)CPE運営事業
①事業としての位置づけ等
 当法人は、JICPAと平成22年3月31日付けで「継続的専門研修制度に係る集合研修の共同開催等に関する合意書」を締結し、平成22年4月1日からJICPAと共催する形でCPEの運営業務を中心に業務を開始した。CPEに関しては、公認会計士法第28条 ※2 及び日本公認会計士協会会則第116条等に基づき、JICPAの責任と管理下で実施しているものである。そのため、企画だけでなく、受講料の徴収の有無、納付方法などもJICPAのCPE協議会で定めている。したがって、これらの点を踏まえると、CPEの実施主体はJICPAであり、当法人は主に運営業務を担当していると位置づけられる。
 当法人は、上記の合意書に基づき、以下の業務を担当している。
 

 a.受講申込みの受付
 b.設定された研修会場との連絡
 c.講師との連絡及び調整(研修教材原稿の校正を含む)
 d.研修会当日の会場運営及び参加者の受付事務
 e.研修参加者への参加料の徴収事務
 f.CPE研修会のeラーニング教材・集合研修CD-ROM教材の製作・販売(請求事務を含む)・発送
 g.有料研修実施に係る費用の支払い事務

 

 また、当法人のCPE運営事業は、有料研修で受領する受講料等(研修会参加料、研修教材の販売収入)で業務運営に必要な費用を賄う形で営むことを想定したものである。そのため、無料研修の増加による有料研修の受講者の減少が当事業の事業損益に大きな影響を与えつつある。
 さらに、当事業においては、以前から有料研修における未収金問題が懸案事項となっており、経済合理性を踏まえつつ、JICPAと対応策の検討を進めている。
 そのほか、JICPAとの上記の合意書に関しては、当面の対応として、現在の業務内容に照らしてかい離が見られる点に関する変更など、必要最低限の見直しを行う方向でJICPAと協議を行っている。

 

②今後3年間の主な取組み
 当事業の業務範囲の拡大については、今までのCPEにおける運営業務のノウハウを活用すべく、JICPA等と主に以下の点に関して協議を行い、合意できたものから順次実施する。
 

 a.CPE対象の運営業務の受託範囲を拡大する ※3 。なお、無料研修については、業務収入を受領する方式(例えば、一定の手数料を受領する方式)をJICPAと合意する必要がある。
 b.中堅・中小監査法人の事務所を会場としたCPE全国研修会の会場設置、JICPAの関東近県の地域会等で開催されている研修の運営受託、研修会映像のオンデマンド方式での提供なども検討する。

 

 CPE参加者の未収金問題に関しては、JICPAと協力して取組みを強化する。具体的には、既に発生している未収金については、当法人から多額の過年度未収金者に対して催告書の送付などにより督促を強化するとともに、JICPAからの法的手段の実施などの方策に関してもJICPAと協議していく。
 当事業の事業損益面では、計数管理の充実による運営コストの低減に引き続き努めるとともに、有料研修の受講者の減少への対応策としては、業務の性格を踏まえてCPE参加者の有料研修の受講料を収益として計上する方式から、業務委託方式(一定の手数料を受領する方式)に変更することなどもJICPAと協議していく。
 そのほか、研修コンテンツの共有など、他の事業と連携を強化する。その一環として、引き続き、CPE協議会からの依頼に基づき、会計実務家研修におけるIFRS関係の講座などをCPEのeラーニングで提供していくことが考えられる。

 

2.当法人の独自事業
会計実務家研修
(1)事業としての位置づけ等
 当法人は冒頭に記載した設立目的を踏まえ、公認会計士だけでなく上場会社等の会計実務家も対象にして当事業を展開してきた。したがって、当事業は、当法人の独自の事業として位置づけられる。
 当事業の教育・研修プログラムの内容に関しては、企業活動における重要なテーマを取り上げて、経営、会計、税務、法務、企業実務という多面的な視点から解説を行うワンストップセミナーや旬な話題をテーマとして取り上げて解説を行う最新トピックセミナーに加え、平成28年7月からは会計、税務、経営管理に関する体系的な教育プログラムの提供を、順次開始している。この体系的な教育プログラムについては、他の研修団体等との差別化を意識して、現時点では上場会社の経理・財務部門の中堅層を念頭に置いたものを提供している。
 また、IT技術の進展を踏まえ、会員の利便性向上と効率的な業務運営を図る観点から、平成28年11月からは大阪、名古屋、福岡、札幌地区でライブ配信セミナーを開始した。そして、同年12月からは、地方会員のニーズを踏まえ、仙台地区を皮切りに、録画配信セミナーも開始した。
 さらに、当法人の会員数の増加のためには当法人及び当事業の「認知度のアップ」が不可欠であることから、平成28年11月のワンストップセミナー「知的財産戦略」より、各地の証券取引所、経済団体、JICPAの地域会の後援を得て、開催案内を上場会社や会員企業、地元の公認会計士に配信してもらうなどの取組みを開始した。
 そのほか、他の事業と研修コンテンツの共有化を図る一環として、平成28年9月からは、IFRSに関する体系的な教育プログラム(「IFRSの考え方」(全5回)、「IFRS基礎講座」(全10回))をCPEのeラーニング教材として提供を開始した。
 会員数については、当法人の設立以来、個人会員や法人会員は徐々に増加しており、平成29年2月末現在では1,363名である。その内訳は、個人会員239名、法人会員123名、実務補習生会員が1,001名である。

 

(2)今後3年間の主な取組み
 当事業の運営にあたっては、法人会員及び個人会員の増加が不可欠である。
 そのためには、まず、魅力ある、質の高い教育・研修プログラムを継続して提供していくことが必要である。具体的な施策としては、昨年7月から順次開始した会計、税務、経営管理に関する体系的な教育プログラムの更なる充実を図るとともに、ワンストップセミナーや旬な話題を提供する最新トピックセミナーにおいては、JICPAのCPE協議会や組織内会計士協議会、会計大学院協会等と連携して取り組む。非営利法人会計や公会計に関しても、会員のニーズやJICPAの施策を踏まえて、会計実務家向け教育・研修プログラムに盛り込んでいくかを検討していく。
 また、会員の利便性の向上を図る方策としては、業務運営の効率化も考慮し、東京地区以外において、例えば、各地域にモニター会員を設け、各地域の会員ニーズに基づくテーマでのライブ配信・録画配信を積極的に展開していく。そのほか、公認会計士で税理士業務に従事している者のニーズも勘案し、東京税理士会等の各地域の税理士会におけるCPEの認定研修の対象となるよう、関係者に引き続き働きかける。
 そして、このような魅力ある、質の高い教育・研修プログラムを継続して提供していくため、外部の有識者等から構成される会計実務家研修部会を再組成して、活用していく。
 次に、当法人及び会計実務家研修の認知度を高める施策を強化する。具体的には、魅力ある、質の高い教育・研修プログラムを提供していることを理解してもらう方策として、各地の証券取引所、経済団体、JICPAの地域会による後援や開催案内の配信などで協力を得るとともに、受講体験の機会を設けるためにワンストップセミナーなどで上場企業に対して無料招待等を定期的に実施する。
 そのうえで、会員勧誘に関しては、上記の施策の実施に基づき、上場会社と公認会計士等の会員の増加に注力する。特に東京地区の上場会社や中小監査法人、税理士法人等への勧誘を積極的に働きかける。あわせて、大阪、名古屋地区などでも勧誘活動を行っていく。そして、平成31年度末の会員数は、個人会員450名、法人会員220名を目指す。

以 上

 

※1「会計監査の在り方に関する懇談会」報告書では、「適切な資質・力量を備えた公認会計士を育成・確保する観点から、・・・実務補習等の在り方についても、継続的に検討を行っていくことが重要である。」と記載されている。

※2 公認会計士法第28条では、「公認会計士は、内閣府令で定めるところにより、日本公認会計士協会が行う資質の向上を図るための研修を受けるものとする。」としている。

※3 JICPAの公会計協議会、税務業務協議会、組織内会計士協議会等の業態別の協議会等が企画する研修会の運営業務を想定している。

 

 

pagetop